林信行 著『進化するグーグル』に感化された

進化するグーグル進化するグーグル (青春新書INTELLIGENCE)
(青春出版[青春新書]、2009年1月発行)

グーグルが提供するサービスの紹介書とも読めるが、グーグルの戦略を分かりやすく解説したところに主題があるのだろう。これにすっかり感化されてしまった。今まで、グーグルのサービスについては検索機能をメインにしているだけで、ほかのサービスを利用することに消極的だった。この本を読んでからは、それらに対して積極的になろうという気になった。

本書は、グーグルの歴史とサービス、そして未来戦略をやさしく解説したもの。グーグルの事業内容は非常に幅広いが、そのすべてのサービスはある一つのシンプルなルールに基づいているという。それは「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」というグーグル社の創業以来変わることのないミッション・ステートメントだという。本書を読むと、この企業理念が事業としてどのように具体化しているのかが理解できる。

グーグルは1998年創業だが、2002年にグーグル社の検索サービスのAPI(Application Program Interface)の公開を発表している。これは検索サービスを使っているだけのぼくには何のことか全く分からないでいた。もっとも分かろうとしなかったわけだけど。

APIとは、グーグル社のサービスを他のプログラムから利用可能にする技術だそうだ。つまり、開発者が自社のソフトに検索機能を用意したい場合、自社開発しないでも、グーグル社のサービスの機能を利用できるようにするもの。利用する側は非常に助かることになる。グーグルは現在、カレンダーや地図サービスなど多くのサービスでAPIの公開を行っている。これがミッション・ステートメントと深く関わるというところを理解できるところが、本書のおもしろいところだと思う。

ぼくたちはメディアが取り上げるグーグルのサービスばかりに目を向けがちだが、グーグルが目指しているのは、人気サービスの開発ではないらしい。IT業界全体が利用する技術インフラ、あるいは情報社会インフラの構築であり提供だと書いてある。これはAPI公開で行き着くところを言っているのかな。

90年代のIT革命は、マイクロソフト社が提供するOSを技術基盤としていた。マイクロソフト製OSのAPIを利用してたくさんのアプリケーションが誕生し、ソフトウエア産業が盛り上がった。これと同様に、21世紀のIT革命は、グーグルがインターネット上に点在する人類の叡智を整理、集約、OS化し、世界中のIT企業がグーグルの提供する技術基盤の上でサービスを構築していく。これこそがグーグルが本当に目指していることだろう。(p129)

こういったグーグルとは一体、何なのだろう。著者は個人的見解と断ったうえで、

グーグルは、21世紀に相応しい社会や仕事ぶり、暮らしぶりとは何かについて、考えるきっかけを与える巨大な実権プロジェクトではないかと思っている。(p35)

と言っている。