ジョン・コルトレーン / Live at Birdland

Live at Birdlandひさしぶりにコルトレーンの『Live in Birdland』を聞いた。たぶん、30年振りぐらいか。聞いていると、このアルバムを初めて聞いたときのことが思い出されてたまらなくなった。同じ歳のいとこの部屋で聞いたのが始めてだった。1965年頃、20歳直前だったと思う。このアルバムのレコーディングが1963年だから、ほとんど、リアルタイムにコルトレーンの音を聞いたことになる。30歳ぐらいの頃にアルバムを自分で買っているが、その頃から聞いてなかった作品だ。

エキゾチックな〈Afro-Blue〉、〈I Want To Talk About You〉後半の印象的なカデンツァ、曲が録音された63年に起きたアラバマ州の教会爆破で犠牲になった少女たちに捧げる鎮魂の〈Alabama〉。これらジャズというカテゴリーにおさまりきれないサウンドを10代後半のぼくがどんな気持ちで聞いていたんだろう。このアルバムを聞いて大きな衝撃を受けたという事実以外は思い出せない。

コルトレーンはこのアルバムを聞く少し前に『Live At The Village Vanguard』を聞いたのが初めてだった。もちろんいとこが買ってきたレコードだった。そのサウンドに驚いた。吹いている楽器は何だろ?と尋ねたことを覚えている。ソプラノサックスだ。大学に進学して、軽音楽部に入りアルトサックスでジャズをプレイしていた、いとこだった。ぼくは高校を卒業して、小さな会社に就職して事務員をしていた。毎日、背広にネクタイで通勤していた。

そのいとこからは高校生の時にモダンジャズを教えられて、すぐにジャズにのめり込んでいった。しかし、コルトレーンの『Live At The Village Vanguard』や『Live in Birdland』はそれまで聞いていたモダンジャズとは何かが違った。10代のぼくはモダンジャズとは違うその何かに向かって進み、オーネット・コールマンやアルバート・アイラーのアルバムに出会うことになる。

そう、フリージャズ・シーンをリアルに体験した。フリージャズ後のパンク・ロックの体験。そしてミニマムなサウンドに染まる現代のクラブ・シーンまで、ぼくは歩き続けている。いとこがモダンジャズを聞いていなかったら・・・、いとこがコルトレーンのアルバムを買っていなくても、ぼくは今のぼくと同じだろうか。たぶん、違っていたかもしれない、と思う。コルトレーンの『Live in Birdland』は重い。『Live in Birdland』がぼくの何かのスイッチを入れたのかもしれない。