絵本『リヤ王と白鳥になった子どもたち』

リヤ王と白鳥になった子どもたちシーラ・マックギル=キャラハン 文
ガナディ・スピリン 絵
もりおか みち 訳
冨山房インターナショナル、2010年6月発行

作者あとがきによると、この作品はアイルランドに昔から伝わる伝説に着想を得たもの、とある。

アイルランドの王リアには2人の王子と2人の王女の4人の子どもがいた。王女は早くに亡くっていて、彼女の妹イーファをめとる。イーファには子どもができず、いつしか4人の子どもたちを憎むようになる。実は彼女は魔女であり、ある日4人を森に連れ出して白鳥の姿に変えてしまう。最後はイーファのかけた呪いが解けて、4人は成人した人間に戻るというハッピーエンド。

この絵本の素晴らしさはガナディ・スピリンの絵だと思う。非常に緻密な絵はじっと見ているとクラクラするぐらいに素晴らしい。圧巻は、4人がクジラの背の上で踊り、彼らを見守る鳥たちやイルカをはじめとする海獣たちがびっしりと描かれたシーンだ。

しかし、これだけだったらよくあるストーリーの絵本で終わるが、もとの物語を知って非常に意味深い絵本になった。それは「絵本のしおり」で、訳者が紹介している元の古いアイルランドの物語だ。

それによると、4人の運命は本書の絵本以上に過酷で悲惨だ。4人は白鳥の姿で人々に美しい歌声を届けたり、人影のない僻地で過ごすなどを何百年も続けて、最後に人間の姿に戻ったときは骨と皮ばかりのやせ細った老人だった。それもつかの間ですぐに死んでしまう。