A Nation’s Hope: The Story of Boxing Legend Joe Louis

A Nation's Hope: The Story of Boxing Legend Joe Louis

ジョー・ルイスはアメリカの世界ヘビー級チャンピオン。第二次世界大戦のせまった1938年、元チャンピオンのドイツ人、マックス・シュメリングとの試合がヤンキースタジアムで行われた。それが絵本になっている。ヒトラーが米国に送り込んだ元チャンピオンとの対決で、当時の熱狂的盛り上がりが伝わってくる絵で見入ってしまう。

絵本では当時のナチスドイツには余り触れていない。ジョー・ルイスの少年時代とハーレムのヒーローであることが主に描かれている。ルイス少年は6才になるまで話すことができなかったとか、逆境の中でボクシングに目覚めていく様子が描かれている。最後に、黒人のチャンピオン、ジョー・ルイスがドイツ人シュメリングに勝ち、その日、ハーレムのヒーローがアメリカのヒーローになる感動的な物語が巧みな絵で表現されている。

表紙のデザインが素晴らしい。
Matt de la Pena 著、Kadir Nelson イラスト

YouTubeにこの日のフィルムがある。
Joe Louis vs Max Schmeling, II (Full Film, HD)

1936年のシュメリングが勝った試合も見ることができる。12ラウンドにルイスがノックアウトされる。
Joe Louis vs Max Schmeling I

ドイツ語の絵本3冊

Eine Blattlaus wandert aus
Marjaleena Lembcke (著)
Stefanie Harjes (イラスト)
出版社: Tulipan Verlag (2011/08)

ドイツ語なんで内容が分からない。絵だけを見てもストーリーがよく分からない。絵から判断すると大人向けの絵本かもしれない。いや、子ども向けとか大人向けとか区別が無意味かもしれない。ムチャクチャに刺激的なイラスト。コラージュも素晴らしい。

著者 Marjaleena Lembcke のamazonのページ
イラスト Stefanie Harjes のamazonのページ

Rote Wangen
Heinz Janisch(著)
Aljoscha Blau(イラスト)
出版 Aufbau Verlag Gmbh (2005/09)

ドイツ語なんで内容分からん。じいさんが孫に自分の生い立ちからの人生を語っているようだが、不思議でとても気になる内容だ。

イラストの Aljoscha Blau のサイトが素晴らしい。イラストもたくさん見られる。

Schnipselgestrüpp
Christian Duda (Autor)
Julia Friese (Illustrator)
Bajazzo (August 2010)

ドイツ語なんで内容はいまひとつわからんが、イラストを見てたらだいたい分かる。夫婦と息子の3人家族。主に息子の部屋で話しが進む。息子はカマキリに興味を持って、それになりきって遊んでたら、親父が来て、カエルになる。その様子を見て、仏頂面だった母親がくすっと笑う。
息子は部屋の壁にベタベタと切り抜いた絵を貼付けるが、そのコラージュがとても良い。

イラストのJulia Frieseのサイトで絵本とかいろいろ見られる。

インドの絵本『トラさん、トラさん、木のうえに!』

Tiger on a Tree (Ala Notable Children's Books. Younger Readers (Awards))アヌシュカ・ラヴィシャンカール(Anushka Ravishankar)文、プラク・ビスワス(Pulak Biswas)絵、うちやままりこ 訳
評論社、2007年6月発行

インドの絵本。黒とオレンジ色の2色刷り。非常に大胆かつ気持ちよい構図に一匹の愛嬌あるトラが描かれている。川を泳いで渡ったり、ヤギに驚いて木に上ってしまう。そこを人間に見つかって、一騒動、ってな単純でほんわかなストーリー。とても和む絵本。

amazonに日本語版の画像がアップされていないので、英語版にリンクです。

絵本 “Rain”

Rain, Manya Stojic, 2000年発行

アフリカの乾いたサバンナに雨が降る。まず、ハリネズミが雨の匂いをかぎとり、シマウマに伝える。シマウマは遠くで稲妻の光を見る。それをヒヒに伝える。ヒヒは雷鳴を聞き、サイに伝える。サイは体に雨滴を感じ、ライオンに伝え、ライオンは雨滴を味わっている。雨は乾ききったサバンナの赤い大地を潤し、植物や虫、そして動物たちはひと時の水の恵みを満喫しつつも、サバンナは再び灼熱の赤い大地に戻っている。

絵は非常に大胆な筆のタッチと構図で、特に動物たちはユーモアを伴って生き生きと描かれている。シンプルなストーリーで文字が大きく、強調する単語はさらに大きくて詩のようだ。ダダの詩を思わせるが、あくまで幼児が読める絵本だし、決してアヴァンギャルドなレイアウトじゃない。絵本全体から勢いがほとばしっている。

絵本をぺらぺらめくって、作家はアフリカ人だと思い疑わなかった。しかし、本書の作者紹介を読むとユーゴスラビアのベルグラード生まれでニューヨークとジンバブウェのハラレに住み、働き、現在はロンドンに住んでいるという。本書が子ども向けの最初の著書だと紹介されている。アフリカのジンバブウェでの体験をもとに描かれたことは間違いないと思うが、ユーゴスラビア生まれには驚いた。

ユーゴスラビアは1980年代から90年代の民族主義の高まりから、暴力を伴う異民族間の激しい紛争へと発展し1992年に社会主義連邦共和国は解体した。ベルグラードは2006年からセルビア共和国となっている。非常に複雑な歴史で簡単には理解できないが、憎悪をともなった民族間の激しい紛争が伝わっていたのは、そんなに昔のことではない。作者の Manya Stojic がベルグラードでどのように成長したんだろう。それとサバンナがどう関係しているんだろう・・・。

絵本『Big Red Lollipop』

Big Red LollipopRukhsana Khan 著、Sophie Blackall イラスト

Rubina は三姉妹の長女で、学校で友だちから誕生会に招待された。も~、嬉しくて嬉しくて飛んで帰ってママに許しを得ようとするんだけど、ここがとっても笑える。

“What’s a birthday party?”
“It’s when they celebrate the day they were born.”
“Why do they do that?”
“They just do! Can I go?”

ってな具合だ。あれっと思うよね。Rubina のクラスメートの服装を見るとどうみても舞台はアメリカだと思う。でも、ママはスカーフみたいなヒジャブを身に着けているから。ああ、この家族はイスラム圏からアメリカに来たんだなと想像がつく。イスラム圏って誕生会ってしないのかな。この点については、この絵本を読んでも分からない。

とにかく、次女が憎たらしい顔して、わたしも行く!って言うから話しがややこしくなった。ママは誕生会のことを知らないから妹も連れて行くならいいと言う。Rubina は困って級友に電話するけど、その情けない顔を見てると笑える。

この絵本のママと三姉妹の生き生きとした表情がとてもいい。その表情を見ているだけで、笑ったり同情したりできる。絵はきれいな線画に美しい彩色。非常に上品な色使いだ。

オチはちゃんとある。やがて次女も誕生会に呼ばれる歳になった。その時、三女は?

著者の Rukhsana Khan(ルクサナ・カーン)は、パキスタンのラホール生まれでトロント在住。イラストのSophie Blackall(ソフィー・ブラッコール)はオーストラリア生まれでニューヨークのブルックリン在住と紹介されている。

絵本『I KNOW HERE』

I Know Here
Laurel Croza 著、Matt James 絵、2010年発行

少女は小学3年生。父さんがダムを作っているので、工事現場のあるカナダの山の中で暮らしている。家はトレーラーハウスだ。ダムが完成する夏になったら、大都会のトロントへ引越しをする。彼女はトロントを知らない。しかし、この山の中の大自然は良く知っている。オオカミの遠吠えの聞こえる暗い森、ビーバーがダムを作る川、大きなムースに出会ったこともある。引越しをするまでに、ここで見たものを描き、ここの思い出を抱いてトロントに行こうと思う。

ストーリーは著者の Laurel Croza の実体験によるものらしい。シンプルなストーリーの絵本だが、少女の心の内面をイメージ化したかのような Matt James の絵が素晴らしい。ぼくは彼の絵に引き込まれてしまった。Matt James はトロント在住の絵描き、イラストレータ、ミュージシャンと紹介されている。

Matt James (http://www.mattjames.ca/)
Matt James のサイト。作品が見られる。
http://www.mattjames.ca/p1.shtml
上記サイトの中の “I KNOW HERE” を紹介するページ。この絵本のページが5点掲載されている。

HOW TO FURNISH A ROOM: Author & Illustrator Laurel Croza & Matt Jamws!
(http://howtofurnisharoom.blogspot.com/2010/04/author-illustrator-laurel-croza-matt.html)
このページには二人の写真が掲載されている。

絵本 “The Pencil”

The PencilAllan Ahlberg(著)、Bruce Ingman(イラスト)

かなりモダンな内容と絵の絵本。鉛筆が少年の絵を描いたら、彼はぼくの名前は?って鉛筆に尋ねる。Banjo はどうだいと鉛筆。グッドと少年。こんな具合に鉛筆は犬、そして猫を描く。そしたら犬は猫を追いかけ、少年は犬を追いかけて、街中を走り回る。

今度は少年と2匹に食べ物を描いたら、白黒じゃ食べる気がしないって。それで鉛筆はカラーブラシを描くんだよ。で、絵がカラーになって彼らはうまそうに食べる。こんな具合にストーリーが進んで、消しゴムが登場する。これでひと騒動という絵本。

絵はシンプルでモダン。おしゃれな絵本。

絵本『リヤ王と白鳥になった子どもたち』

リヤ王と白鳥になった子どもたちシーラ・マックギル=キャラハン 文
ガナディ・スピリン 絵
もりおか みち 訳
冨山房インターナショナル、2010年6月発行

作者あとがきによると、この作品はアイルランドに昔から伝わる伝説に着想を得たもの、とある。

アイルランドの王リアには2人の王子と2人の王女の4人の子どもがいた。王女は早くに亡くっていて、彼女の妹イーファをめとる。イーファには子どもができず、いつしか4人の子どもたちを憎むようになる。実は彼女は魔女であり、ある日4人を森に連れ出して白鳥の姿に変えてしまう。最後はイーファのかけた呪いが解けて、4人は成人した人間に戻るというハッピーエンド。

この絵本の素晴らしさはガナディ・スピリンの絵だと思う。非常に緻密な絵はじっと見ているとクラクラするぐらいに素晴らしい。圧巻は、4人がクジラの背の上で踊り、彼らを見守る鳥たちやイルカをはじめとする海獣たちがびっしりと描かれたシーンだ。

しかし、これだけだったらよくあるストーリーの絵本で終わるが、もとの物語を知って非常に意味深い絵本になった。それは「絵本のしおり」で、訳者が紹介している元の古いアイルランドの物語だ。

それによると、4人の運命は本書の絵本以上に過酷で悲惨だ。4人は白鳥の姿で人々に美しい歌声を届けたり、人影のない僻地で過ごすなどを何百年も続けて、最後に人間の姿に戻ったときは骨と皮ばかりのやせ細った老人だった。それもつかの間ですぐに死んでしまう。

Kate Banks と Georg Hallensleben の絵本『What’s Coming for Christmas?』

What's Coming for Christmas? (Frances Foster Books)Text copyright (c) 2009 by Kate Banks
Picture copyright (c) 2009 by Georg Hallensleben

今頃クリスマスの絵本もなんだけど、東北の地震、津波そして福島原発の事故が重なっている。ニュースを見ているとついついめいってしまう。こういうときに、ケイト・バンクスとゲオルグ・ハレンスレーベンの絵本を見ているとほんとホッとする。

たぶんクリスマスイブの日の出来事が描かれているんだと思う。最後のページだけは夜が明けたクリスマス。それまではイブの日中から夜にかけてに日常が描かれている。クリスマスといってもサンタとかトナカイは出てこない。

Something was coming.
と何度も何度も繰り返される。
何がやってくるんだろう。
You could see it in the way the snowman’s eyes sparked.
という具合に気配、あるいは徴候が描かれ語られる。

イブの日に感じるスピリチャルな何かを直接に描かかずに、感じるすばらしい絵。ぼくの場合だと、12月31日を迎える前のあの慌ただしさを思い出した。親戚があつまっての餅つきだとか、父と弟や妹と買いに行った松飾りのあの匂い。元旦の朝、新雪を踏んで祖父と言った近くの神社など、この絵本と同じ気配を感じていたことがあったことを思い出した。今は全く感じることのない気配だよな。

日本語版 ↓
クリスマスにやってくるのは?

John Burningham の絵本 “IT’S A SECRET!”

It's a SecretJohn Burningham(ジョン・バーニンガム)の2009年の作品。著書目録によると2006年以来で最新作ということになる。絵の繊細さはなくなってるけど、とぼけ感は相変わらずで楽しい。この日本語版を先月見ている。
ジョン・バーニンガムの絵本『ひみつだから!』

市立図書館の洋書コーナーで他の作家の絵本を探していたら、本書が出てきた。日本語版とは雰囲気が随分と違うので思わず、借りてきた。表紙が違うだけで、本文は同じなんだけど、どうしてこんない違うんだろう。やっぱり文字は英語がいいよな。

表紙だけど、日本語版はいかにもお子様向け。これまでのバーニンガムの絵本によくある構図だ。英語版はというと、夜遊び大好きの不良ネコと不良ガキって感じがとてもよい。表紙のこのページは本文にもあって、実は朝帰りの様子なんだ。いかにもって感じだよな。